穢れなき獣の涙
 エルフとリザードマンはこれまで相容れない存在だったため、アレサにとって彼らの外見はかなり衝撃的だったようだ。

「あれはトゲトカゲ。こちらはウロコトカゲ」

「これこれ、失礼なことを言うでない」

 港町でアレサのつぶやきにユラウスが呆れながらも軽く戒めていた。

 男女の違いは、同じく胸の膨らみなどで確認が可能だ。

 そして人間やエルフと変わらず、女性は着飾っている。

 ──そうこうしているうちに集落が見えてきた。

 丸太を地面に突き刺した囲いはモンスターや危険な獣避けだろう。

 簡単な木造家屋に獣の皮で出来たテント、おそらく名のある家なのかレンガ造りのものもある。

 ふと、木彫りの人形らしきものが軒下につり下げられている家があった。

 この土地、特有の風習なのだろうか。
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