穢れなき獣の涙
◆第七章-橋のあいだに-
*終わりに至らず
──長老のリュクシェルは食事のあいだじゅう、熱心に旅人の話に耳を傾けていた。
人間のこと、エルフのこと、それらは彼らにとってとても興味深く、身を乗り出すほど楽しげに聞き入っていた。
そうしてようやく解放されたユラウスたちは、やれやれと背を伸ばし宿に向かう。
「ふう、大変じゃったわい」
「シレアの話は興味深かった」
このなかで長く旅をしているのはシレアだけだったため、ほとんど彼が話をしていた。
そのことに苦はなかったが、最も楽しんでいたのはアレサであることにシレアは苦笑いを浮かべる。
「それにしても、落ち着かんの」
見回りのリザードマンたちは感情のうかがい知れない顔立ちだが、ぴりぴりとした緊張感が肌に伝わってくる。
「ええ。尋ねても旅人には関係ないと言われてしまいますし」
「気にはなるな」
そのとき、