穢れなき獣の涙
 ガビアリアンとはまさに、戦いのために生まれた種族ともいえる。

 唯一の救いなのは、その数が少ないことだろう。

 十数あるリザードマンの集落に比べれば、ガビアリアンの集落は一桁だ。

 まとまれば根絶やしにすることは可能だが休戦協定を破り虐殺を行うことは、過去の歴史そのままではないか。

 否、ガビアリアンにはまだ食料として殺していたという理由が少なからずあった。

 しかれど、脅威を取り除くためという理由は大義に見えて、ただの殺戮でしかない。

「我らはもう、争いタくはなイ」

 多くの血が流れ、命が奪われるようなことはまっぴらだ。

「交流は無いのか」

「双方が必要とする資材や食材のみ交換してイる程度ダ。そレも役目が決まってイる」

 シレアの問いかけに、それすらも断ちたいというのが正直な気持ちだとリュオシャルは舌打ちし、苦い表情を浮かべる。
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