穢れなき獣の涙
「それよりも今は──」
瞳を険しくし、おもむろに剣を抜いた。
「こちらをどうにかしないとな」
振り返り、赤い瞳で睨み付ける獣を見上げる。
鼻息荒く唸り声を上げ、逃がすまいと鋭い牙をむき出して白い縞模様が映えるブラウンの体毛を逆立たせた。
この地域、特有の毛色なのだろうか。
エナスケアとは体毛の色が少し異なる。
「さっきノ奴カ!」
ケジャナルはすぐさま剣を抜いて立ち上がり、ヤオーツェを背中に回した。
「隠レてイろ」
小声で指示を受けたヤオーツェは少しためらったが、戦いの邪魔になると素直に従った。
「でかいな」
目を眇め、バシラオの荒ぶる吐息に異様な狂気を感じ取る。
シレアの数倍もある巨体が、あたかもそびえ立つ壁のようにゆっくりと迫り来た。
瞳を険しくし、おもむろに剣を抜いた。
「こちらをどうにかしないとな」
振り返り、赤い瞳で睨み付ける獣を見上げる。
鼻息荒く唸り声を上げ、逃がすまいと鋭い牙をむき出して白い縞模様が映えるブラウンの体毛を逆立たせた。
この地域、特有の毛色なのだろうか。
エナスケアとは体毛の色が少し異なる。
「さっきノ奴カ!」
ケジャナルはすぐさま剣を抜いて立ち上がり、ヤオーツェを背中に回した。
「隠レてイろ」
小声で指示を受けたヤオーツェは少しためらったが、戦いの邪魔になると素直に従った。
「でかいな」
目を眇め、バシラオの荒ぶる吐息に異様な狂気を感じ取る。
シレアの数倍もある巨体が、あたかもそびえ立つ壁のようにゆっくりと迫り来た。