穢れなき獣の涙
*我が友
一同は食事を終え、吟遊詩人の歌に聴き入っていた。
「あ、あの。お口直しに今日仕入れた果物をごちそうします」
カナンはそう言って、木の器に切って盛られた黄色い果物を各々のテーブルに乗せていく。
「お、いいね」
「ありがとう」
皮ごと食べられる甘酸っぱい果物は、苦さの残る口の中を洗い流すように心まで満たしていく。
客人たちは、しばらくそれらを堪能して部屋に戻るため立ち上がった。
「ごちそうさん」
「次は期待してるわ」
「はい。おやすみなさい」
客に応えながらテーブルの上を掃除していたカナンの前に、シレアの手が伸ばされた。