穢れなき獣の涙
「私はケジャナル。ガビアリアンの戦士ダ」

「そのキサマが、何をしに来タ」

「少し落ち着け」

 確かに、いかに強い戦士といえど、これだけのリザードマンに囲まれては勝ち目は無い。

 シレアの言葉に、リザードマンたちはようやく冷静を取り戻した。

「リュオシャル! オイラたちは仲良くなれるんだよ。いつまでも昔のことにこだわってないで、話し合おうよ」

「ヤオーツェ。しカし」

「オイラは人間に育てられた。嫌なやつもいたけど、育ててくれた人間はいい人だったよ。みんながみんな悪い訳じゃないんだよ!」

 外側にいたからこその言葉は、リュオシャルの心をいくばくか波打たせる。

 ガビアリアンが何をしてきたか、ヤオーツェが知らないはずはない。

「オイラ、とーちゃんとかーちゃんと、ずっといたかった。ここに置いてけぼりにされたとき、捨てられたのかと思った」

 でも、かーちゃんは同じ仲間といた方がいいって、泣きながらオイラを抱きしめるんだ。
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