穢れなき獣の涙
「よくご存じであられる」
壁や柱には彫刻も数多く見られ、複雑で多様性に富んだ見事な造りを眺めつつセルナクスのあとに続き階段を上る。
──書物を読みあさる多くの影を遠巻きに見つめてさらに上へと進む。
階段を上りきった先にたどり着いた二枚扉を見上げたセルナクスが両手に力を込めると、それは何の抵抗もなく静かに開いていく。
申し訳程度に灯されている蝋燭の炎は室内をほとんど照らすこともなく。
そんな薄暗い部屋の中央には、しずく型の巨石が淡く青白い光を発して浮遊していた。
「要石じゃ」
その不思議な光に、誰もが言葉を失う。
手に触れなくとも微かに伝わる脈動は、心を落ち着かせる響きだ。
左から右に曲線を描くように造られた階段の中央辺りに要石へと続く踊り場があり、そこから要石に接近できる。
要石を横目にしてさらに上を目指し、突き当たった扉を開くと広い通路が一同を迎える。
赤い絨毯の敷かれた通路を進むと、再び大きな扉が見えてきた。
壁や柱には彫刻も数多く見られ、複雑で多様性に富んだ見事な造りを眺めつつセルナクスのあとに続き階段を上る。
──書物を読みあさる多くの影を遠巻きに見つめてさらに上へと進む。
階段を上りきった先にたどり着いた二枚扉を見上げたセルナクスが両手に力を込めると、それは何の抵抗もなく静かに開いていく。
申し訳程度に灯されている蝋燭の炎は室内をほとんど照らすこともなく。
そんな薄暗い部屋の中央には、しずく型の巨石が淡く青白い光を発して浮遊していた。
「要石じゃ」
その不思議な光に、誰もが言葉を失う。
手に触れなくとも微かに伝わる脈動は、心を落ち着かせる響きだ。
左から右に曲線を描くように造られた階段の中央辺りに要石へと続く踊り場があり、そこから要石に接近できる。
要石を横目にしてさらに上を目指し、突き当たった扉を開くと広い通路が一同を迎える。
赤い絨毯の敷かれた通路を進むと、再び大きな扉が見えてきた。