穢れなき獣の涙
◆第九章-振り向いた先-
*北の大地へ
「何故ガーゴイルたちが」
疑問を口にした評議長をユラウスは一瞥し、シレアに視線を移した。
シレアはその視線に無言で頷く。
「評議長殿」
「うむ? 何かな」
「話すべきかどうか悩んだのじゃが、空までも安心出来ぬとあっては致し方ない。信じるかどうかは貴殿に委ねるとしよう」
神妙な面持ちのユラウスに、レイノムスも姿勢を正した。