穢れなき獣の涙
「わたしはミレア、集落の長の娘です」
形の良い唇からそれに見合う声が発せられた。
魔導師と呼ばれる種族は、その言葉にも力があるとされていた。
彼らに応えるだけでも支配されてしまうと恐れられた時代もある。
本来、魔導師という言葉は彼らの名ではなかった。
生まれながらに持つ高い魔力のために、いつの間にかその名で呼ばれるようになっていたのだ。
彼らにとって、あまり喜ばしいものではなかったけれど昔と異なり、今は敬意の念も含まれていると解って、魔導師という名にそれなりの好感を持つようになっている。
「あなたは、シャグレナ大陸に行かねばなりません」
「ミレアと言ったかの。それはどういう意味なんじゃ?」
割って入った古の民を一瞥し、少女は説明を始める。
形の良い唇からそれに見合う声が発せられた。
魔導師と呼ばれる種族は、その言葉にも力があるとされていた。
彼らに応えるだけでも支配されてしまうと恐れられた時代もある。
本来、魔導師という言葉は彼らの名ではなかった。
生まれながらに持つ高い魔力のために、いつの間にかその名で呼ばれるようになっていたのだ。
彼らにとって、あまり喜ばしいものではなかったけれど昔と異なり、今は敬意の念も含まれていると解って、魔導師という名にそれなりの好感を持つようになっている。
「あなたは、シャグレナ大陸に行かねばなりません」
「ミレアと言ったかの。それはどういう意味なんじゃ?」
割って入った古の民を一瞥し、少女は説明を始める。