穢れなき獣の涙
「で、お前はどうするんだ」

 セルナクスは、問題を残された形になった幼なじみに声をかけた。

「どうしようか」

「おまえ、もうちょっと深刻に考えろよな」

 しれっと応えられて唖然とした。

 こいつは昔から妙におっとりとしていて、兵士に向かないのはそのためなのか。

 ──それから、

「よろしいのですか?」

 シレアたちの出発準備を眺めているレイノムスに、セルナクスが小声で問いかける。

「止めることも考えたがね」

 セルナクスを一瞥し、シレアに視線を移した。

「君の親友が報告してくれるだろう」

「あ、はい」

 評議長の言葉に一瞬、驚くも当然の事かと幼なじみの元へ歩み寄る。
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