穢れなき獣の涙
「マノ」

「なんだい?」

「評議会の命だ。彼らに同行して、何かあれば報告しろ」

「なんだよ、監視しろってか」

「それくらいやれよ」

「解ったよ。評議会の命令なら仕方ない」

 溜息を吐き、マノサクスはシレアたちに近づいた。



 ──シレアたちが去った日の夜

「どうした、ミレア」

 レイノムスは、珍しく尋ねてきた魔導師を見下ろした。

 寝ようと思い、寝室に向かっていた彼をミレアは呼び止めたのだ。

「レイノムス様、お願いがございます」

 その面持ちは険しく、これから話す事柄を慎重に選んでいるようだった。





< 280 / 464 >

この作品をシェア

pagetop