穢れなき獣の涙
 放浪者(アウトロー)や傭兵、多数の人間を雇い、それでも収集には大きな困難を要した。

「そうして我らは二十四年前、納得の出来る存在を造り上げたのだ」

 恍惚とした表情のあと、シレアを見つめた。

それにつられるように一同もシレアに視線を向ける。

「まさか……。シレアがそうだとでも言うのか!?」

 マイナイの言葉から導き出された真実に、ユラウスたちの驚きは隠せない。

「それが知りたかったのではないのか?」

 マイナイは目を吊り上げるユラウスに恐れることもなく、どちらかと言えばいぶかしげに見つめていた。

 多くの人々を救う薬を作る彼らに敬意を抱いてはいれど、命を弄(もてあぞ)ぶような行為を許せる訳ではない。

「そうだ」

 沈黙していたシレアが静かに答えると、まったく動じている様子のない青年に皆は唖然とした。

「おぬし、驚かんのか」

「驚いた」

 無表情で言われても……。

「では、あなたは何を気にしていたのですか」

 それに、シレアは視線を泳がせた。
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