穢れなき獣の涙
「お疲れでしょう。我々の家では窮屈だと思いますので、集会場にご案内します」

「突然の訪問だというのにかたじけない」

 案内された先は広場だろうか、円形に広がっているその中心には、大きな切り株があり切断面は丁寧に磨かれていた。

 舞台にもなるテーブルの前に腰を落とすと、木製のコップに注がれた飲み物が配られた。

 レキナよりも小さい彼らはおそらく子どもだろう、配りながら物珍しそうに訪問者たちを眺めていた。

 可愛い面々に顔がほころぶなか、ヤオーツェは不機嫌ながらも出された飲み物が美味しいのか一気に飲み干していた。

 コルコル族は思っていたほどリザードマンを嫌ってはいないようだ。

 そっけない態度をとられてはいても、それに怒りを示すことはない。

「皆さんはどこから来たのですか?」

「シャグレナからじゃ」
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