穢れなき獣の涙
 あいつみたいになれなくて、あいつにあんな顔をさせて──息巻いて近衛になったって、あいつに迷惑かけるのは目に見えている。

「あいつは、オレの誇りだよ」

 いつか、嫌われるかもしれないけど。

 あいつの期待に添えないのだからそれは仕方がない。

「正直さ、あんたたちの仲間だって聞いて、少し嬉しかったのもあるんだ」

 オレにも何か出来る。

 オレも、なにかの役に立てるものがあった。

 マノサクスは早々に、評議会からの命令をユラウスたちに暴露して彼らを呆れさせた。

 隠し事が嫌いだからという訳ではなく、そのつもりだからよろしくねということらしい。

 なんとも温厚で憎めない。それが彼の特性なのだろう。




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