穢れなき獣の涙
[我が理想の前では意味を成さぬ]
「勝手な!」
ヤオーツェは怯えながらも自身を奮い立たせて怒りを吐き捨てる。
[これ以上、我の前に立ちはだかるならば、覚悟しておくがいい]
影は一度、脅すように大きく膨れあがったかと思うと、音もなく四散して消えた。
一同は喉を詰まらせ、しばらく互いを見合った。
そして、初めて目にした敵に吹き出た汗を拭う。
「なにあれ。今のが敵?」
「──の親玉じゃろうな」
未だ夢から覚めやらぬモルシャに答える。
とはいえ、ユラウスも冷静に答えているようでその実、手の震えは収まっていない。
「なんか、怖かった」
「皆、そうだ」
ヤオーツェもアレサも微かに声が震えている。
「影だけであの威圧……。かなりの強敵だね」
マノサクスもさすがに冷や汗を垂らし、苦笑いを浮かべた。
本当に自分が何かの役に立てるのか、今更ながら考え直す。
「勝手な!」
ヤオーツェは怯えながらも自身を奮い立たせて怒りを吐き捨てる。
[これ以上、我の前に立ちはだかるならば、覚悟しておくがいい]
影は一度、脅すように大きく膨れあがったかと思うと、音もなく四散して消えた。
一同は喉を詰まらせ、しばらく互いを見合った。
そして、初めて目にした敵に吹き出た汗を拭う。
「なにあれ。今のが敵?」
「──の親玉じゃろうな」
未だ夢から覚めやらぬモルシャに答える。
とはいえ、ユラウスも冷静に答えているようでその実、手の震えは収まっていない。
「なんか、怖かった」
「皆、そうだ」
ヤオーツェもアレサも微かに声が震えている。
「影だけであの威圧……。かなりの強敵だね」
マノサクスもさすがに冷や汗を垂らし、苦笑いを浮かべた。
本当に自分が何かの役に立てるのか、今更ながら考え直す。