穢れなき獣の涙
「宣戦布告。でしょうかね」

「おそらくな」

 敵は確実に力を付けてきている。

 それがじわりじわりと感じ取れてユラウスたちは呆然と立ち尽くしていた。

 ところが、シレアだけは何事も無かったように消えた影を追うように、その場所を静かに見つめていた。




 ──気も休まることなく一夜が明け、ユラウスたちは次の行き先を話し合う。

「さて、どこに向かうかの」

「次の仲間は見えないのか」とシレア。

「生憎とな」

「オイラ、エナスケアに行きたい」

「あ、オレも!」

 ヤオーツェの希望にマノサクスも手を上げた。

「ふむ……。そうじゃな、それも良いじゃろう」

 次の仲間がどういった種族なのかは解らないのだから、とにかく行き先だけは決めておくにこしたことはない。
< 332 / 464 >

この作品をシェア

pagetop