穢れなき獣の涙
「ありがとう。あなたも、みんなを守ってね」

 いつ敵が襲ってくるか解らない。でも、レキナなら大丈夫。長老の息子なんだもの。
「うん」

 二人は互いに手を握り、やるべきことをやろうと決意を新たに見つめ合った。




 ──旅の準備を済ませたユラウスたちは、集落の奥深くに立ち入る。

 雑木林を抜けた先に、コルコル族の魔術師(メイジ)が住んでいるのだ。

 相変わらずの可愛い姿だが引きずるほどのローブを羽織り、その手にはそれぞれに長い杖を持ち神妙な面持ちでシレアたちを見上げた。

 首には宝石が下げられており、ルビーだったりサファイアだったりと様々だ。

 建物は他の家屋と変わらず丸太で造られているけれど、飾られているものは魔術的なものが多い。

 レキナが事前に話をつけてくれていたのか、メイジたちは無言で建物の裏手にある魔法円に案内した。
< 334 / 464 >

この作品をシェア

pagetop