穢れなき獣の涙
◆第十一章-竜のごとき-

*刺す瞳


 ──その夜

 集落の広場で炎を囲み、これからの事を話し合った。

「あれから予言は」

「だめじゃ。まったく見えぬ」

 シレアの問いかけにユラウスは首を振る。

「これは厄介ですね」

 アレサは小さく唸って腕組みをした。

「新しい仲間が見えないっていうのは、あたしが最後の仲間だったってこと? もしそうだとしても、他に何も見えないっていうのが解らないわ」

 仲間で唯一の女性であるモルシャが、女性らしい仕草で溜息を漏らす。

 見た目が見た目であるため、色気があるのかはここにいる一同には解らない。

 遺物を見つけ出すうえで古代の知識はかかせない。

 彼女も類に漏れず、高い知識を持っているようだ。

 遺跡を調べるその延長線上に、必ず古の民が顔を出す。

 それほどにロデュウは古く、気高い種族だった。
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