穢れなき獣の涙
三日後──体調はまだ完全とはいかないが、ここからは捕らえた一頭を調教しながらで問題はない。
バックパックからロープを取り出し、先端を輪にする。
それを適当に草の中に投げ、その先を手に持って地面に腰を落とし空を見上げた。
簡単な仕掛けだが、滅多に人の来ない土地ならひっかかるだろう。
いくら人なつこいとはいえ、捕まえようとする相手に近づくほど馬鹿でもないはずだ。
ここは気長に待つとしよう。
──と思いきや、一頭のカルクカンが警戒心も見せずひょこひょこと近づいてくる。
「えーと?」
あまりにもの出来事に言葉もない。