穢れなき獣の涙
「ああ」

 そういえば、馬には運命の相手がいると聞いた事がある。

 人と馬の間にある絆は、必ず互いを引き合わせる。

 それがカルクカンにもあるというのだろうか?

 シレアはカルクカンをじっと見つめた。

 青みがかった緑の体と黄色い瞳はただ静かにシレアを見下ろしていた。

「私と、来るか?」

[ククルルゥ!]

 それに応えるようにカルクカンはひと鳴きした。

 とはいうものの、乗りこなすにはやはり調教が必要だ。

 時間はたっぷりあるのだからと、事前に調べていた手順で調教を開始する。

 そうしているうちに他のカルクカンとも仲良くなり、あのとき自分を守るために集まっていたのだと理解した。
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