穢れなき獣の涙
うぬぼれるな。
貴様は、奴を引き込むための道具に過ぎない。
「目覚める前に俺のものにしたかったんだがな」
舌打ちし、煩(わずら)わしそうに剣を引き抜いて転がる女を冷たく見下ろした。
「ひどい」
「あれがネルサという男か」
モルシャやアレサだけでなく、見ていた者たちは嫌悪感を募らせた。
「さあ、戦いを続けようじゃないか」
ネルサの瞳が輝き、それに呼応するように左手にエネルギーが集まる。
「避けろ!」
シレアの叫びは間に合わず、ネルサの左側にいた友軍が赤黒い衝撃波に吹き飛ばされた。
──そのなかに、かつての荒くれ者、ロシュリウスの姿を見つける。
彼が旅に出て以来、会うこともなく会話もしていない。
「ロシュリウス!」
友の影は異様なほど、ゆっくりと視界を横切っていく。
そこに一縷(いちる)の望みすら与えてはやらぬと言わんばかりに直感で彼の死を感じ取り、その衝撃が胸を貫いた。
こんな終わり方でいいはずがないだろう──!?
貴様は、奴を引き込むための道具に過ぎない。
「目覚める前に俺のものにしたかったんだがな」
舌打ちし、煩(わずら)わしそうに剣を引き抜いて転がる女を冷たく見下ろした。
「ひどい」
「あれがネルサという男か」
モルシャやアレサだけでなく、見ていた者たちは嫌悪感を募らせた。
「さあ、戦いを続けようじゃないか」
ネルサの瞳が輝き、それに呼応するように左手にエネルギーが集まる。
「避けろ!」
シレアの叫びは間に合わず、ネルサの左側にいた友軍が赤黒い衝撃波に吹き飛ばされた。
──そのなかに、かつての荒くれ者、ロシュリウスの姿を見つける。
彼が旅に出て以来、会うこともなく会話もしていない。
「ロシュリウス!」
友の影は異様なほど、ゆっくりと視界を横切っていく。
そこに一縷(いちる)の望みすら与えてはやらぬと言わんばかりに直感で彼の死を感じ取り、その衝撃が胸を貫いた。
こんな終わり方でいいはずがないだろう──!?