穢れなき獣の涙
──聞き終わった少女たちは、ぽかんと口を大きく開けてシレアとカルクカンを交互に見やる。
「すごい!」
「凄い!」
「それほど起伏のある話でもなかっただろう」
「そんなことないよ!」
「このお馬さん優しいんだ」
ソシエは少し怖々(こわごわ)とソーズワースを見上げた。
よくよく眺めるとその顔立ちはくちばしの大きな、毛のないオウムのようにも見える。
「大きな爬虫類に思われがちだが、そうではない」
言って立ち上がったシレアは、ソーズワースの首を優しくさする。
気持ちよさそうに目を細めるカルクカンの表情にセシエとソシエは可愛いと思った。