穢れなき獣の涙
 傾きかけた陽の光に照らされた白い鱗はオレンジをまとい、シレアの手には黄金色に輝く剣がもたらされた。

 剣は黄昏の陽を吸い込んだように暖かくシレアは一度、深く息を吸い込んだのち剣を強く握り、眼下に見える巨体に向かって飛び降りた。

[ぬっ!?]

 ネルサはそれに気付いたが一歩遅く、頭の横をかすめて落下するシレアがその首に剣を突き立てる。

[グアッ!? きさま!?]

 剣は幾本の稲妻を走らせネルサに深々と突き刺さった。

 ヴァラオムは、剣を刺したまま手を離して落ちるシレアを受け止め、ネルサから遠ざかる。

[見事な一撃だ]

 深々と突き刺さった剣はその巨体では抜くことが出来ず、ネルサは小さな針の痛みに悶えた。
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