穢れなき獣の涙
 旅先で手に入るものといえばほとんどがハーブティだ。

 何せ、雑草ならそこらに生えている。

 それらを乾燥させればハーブテイとなる。

 もちろん、毒草には気をつけろ。

 ハーブティも嫌いではないが、それしかないとなるとさすがに飽きてしまうのは仕方がない。

「父さんたちが死んでから、あの子たち、ふさぎ込んでしまって」

 向かいの席に腰掛けて続けた。

「宿を継いだわたしのために必死で笑って、一生懸命に元気なふりをして」

「あの子たちはあの子たちで考えているのだろう」

「え?」

「お前が思うほど彼女らは弱くはないよ」

 両親の死をしっかりと受け止め、生きている今を強く感じている。

「もう少し、あの子たちに頼ってもいいのではないか」

 シレアの言葉にカナンはしばらく呆然とした。
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