穢れなき獣の涙
「やはり解らないか」
「すまぬ。不思議と心の奥に入り込めぬ」
シレアは返された答えに、さしたる落ち込みも見せず旅人に快く接してくれた長老に感謝の笑みを浮かべた。
長く生きたエルフには、その者の心の奥を覗く力があるとされる。
己にも解らない事柄も、それによって知ることが出来るのだ。
その者が持っている血の記憶とでも言うのか、それを見る力を持っている。
「己を探しておるのか」
「目的があった方が旅はより楽しめる」
「そうであるならば良い」
深く悩んでいる素振りのないシレアに発し、部屋の入り口付近にいたエルフに軽く手を挙げる。
「ごゆるりとしていかれよ」
「かたじけない」
「ありがとうございます」
飲み物が振る舞われ、金属の白い皿に乗せられた料理が二人の前に並べられる。
会話している間に作ったのだろう、どれも人間の口に合いそうなものばかりだ。
「すまぬ。不思議と心の奥に入り込めぬ」
シレアは返された答えに、さしたる落ち込みも見せず旅人に快く接してくれた長老に感謝の笑みを浮かべた。
長く生きたエルフには、その者の心の奥を覗く力があるとされる。
己にも解らない事柄も、それによって知ることが出来るのだ。
その者が持っている血の記憶とでも言うのか、それを見る力を持っている。
「己を探しておるのか」
「目的があった方が旅はより楽しめる」
「そうであるならば良い」
深く悩んでいる素振りのないシレアに発し、部屋の入り口付近にいたエルフに軽く手を挙げる。
「ごゆるりとしていかれよ」
「かたじけない」
「ありがとうございます」
飲み物が振る舞われ、金属の白い皿に乗せられた料理が二人の前に並べられる。
会話している間に作ったのだろう、どれも人間の口に合いそうなものばかりだ。