モノノ怪-血夜桜編-
「い、いえそんなこと…そのような理由がございましたら、
仕方がないと思います。
土方様は私の身を案じてそう注意をなさったのなら、納得がゆきます。
私こそ思慮浅くすみません。
そうですね…。私は自分の身も守れないんですから、
もしそのようなことが起こってしまいましたら、
抵抗しても鍛えられた男性には適いませんしね。」
私は土方様の優しさを知って、
私との接触を控える幹部の皆様のお気持ちを考えると、甘い考えをしていたんだと自覚した。
「というのもあるがな。」
「え?」
納得して私は笑みを浮かべて、
土方様から視線を外し外の風景を見ていると、
土方様の声が思ったよりも近くに聞こえ驚き、もう一度土方様がいらっしゃったはずの場所を振り返ると、
誰もいなかった。
少し焦って周りを見渡そうと首を動かすと、
次の瞬間私の視界は紫色でいっぱいになった。身動きが出来ない。
人の温かさと慣れた気配に驚く。
私はいつの間にか土方様の腕の中に居た。
「土方様!?」
「それもあるが…本当はこんなん建前だ。
ただ…お前の笑顔を独占したかったんだよ。」
抱きしめてくる土方様の腕が強くなる。
「土方様?」
「お前を…珠姫を独り占めしたくて仕方がねえんだよ。…好きだ。」
彼の声が耳元で聞こえた。
「!?」
(嘘…)
沈黙が出来た。
時間にしてみればそんなに長くはなかったのかもしれない。
それでも私には一刻位に感じられた。
私は彼を見上げる。彼の綺麗な紫暗も瞳は凄く優しく、
心配そうな不安そうな光が見え隠れしていた。
(本気…だ。)
あれは土方様の本気の目だ。
何も言えずに黙っていると、土方様は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「珠姫も俺が好きなんだろ。」
疑問でもなく、彼は確信で宣言した。
「いつも俺を見ていただろ。気づいてないとでも思ったか?」
一気に私は顔が赤くなるのに気がついた。図星だった。
確かにあれだけ見ていたから、気づかない筈がない。
「俺も珠姫をずっと見ていたからな。知ってたよ。」
「なッ!?」
仕方がないと思います。
土方様は私の身を案じてそう注意をなさったのなら、納得がゆきます。
私こそ思慮浅くすみません。
そうですね…。私は自分の身も守れないんですから、
もしそのようなことが起こってしまいましたら、
抵抗しても鍛えられた男性には適いませんしね。」
私は土方様の優しさを知って、
私との接触を控える幹部の皆様のお気持ちを考えると、甘い考えをしていたんだと自覚した。
「というのもあるがな。」
「え?」
納得して私は笑みを浮かべて、
土方様から視線を外し外の風景を見ていると、
土方様の声が思ったよりも近くに聞こえ驚き、もう一度土方様がいらっしゃったはずの場所を振り返ると、
誰もいなかった。
少し焦って周りを見渡そうと首を動かすと、
次の瞬間私の視界は紫色でいっぱいになった。身動きが出来ない。
人の温かさと慣れた気配に驚く。
私はいつの間にか土方様の腕の中に居た。
「土方様!?」
「それもあるが…本当はこんなん建前だ。
ただ…お前の笑顔を独占したかったんだよ。」
抱きしめてくる土方様の腕が強くなる。
「土方様?」
「お前を…珠姫を独り占めしたくて仕方がねえんだよ。…好きだ。」
彼の声が耳元で聞こえた。
「!?」
(嘘…)
沈黙が出来た。
時間にしてみればそんなに長くはなかったのかもしれない。
それでも私には一刻位に感じられた。
私は彼を見上げる。彼の綺麗な紫暗も瞳は凄く優しく、
心配そうな不安そうな光が見え隠れしていた。
(本気…だ。)
あれは土方様の本気の目だ。
何も言えずに黙っていると、土方様は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「珠姫も俺が好きなんだろ。」
疑問でもなく、彼は確信で宣言した。
「いつも俺を見ていただろ。気づいてないとでも思ったか?」
一気に私は顔が赤くなるのに気がついた。図星だった。
確かにあれだけ見ていたから、気づかない筈がない。
「俺も珠姫をずっと見ていたからな。知ってたよ。」
「なッ!?」