モノノ怪-血夜桜編-
そしたら原田さん達はとても、嬉しそうな顔をされて、
皆を集めると、散り散りになった。

数刻して人をたくさん引き連れて、
私はこんなにも大勢の場所で歌ったことが無いから、凄く緊張して…
皆が見守るなか、歌を歌う。

いつしか人は最初の頃よりも多くなっていた。
夢中になって歌っていた私は気がつかなかった。

「いい歌を聞かせて貰った。」

「斎藤様。」

「すげえや…詩姫!」

「は、恥ずかしい!!」

口々に言われる賛美の言葉に、私は顔が熱くなるのが分かった。
赤くなった顔を見られたくなくて、俯いていたら、頭を撫でられた。

「!?」

「謙遜すんな。お前の歌は本当に凄かった。自信を持て。」

顔をあげると、太陽に照らされ、微笑みを浮かべる土方様のお姿。

「ひ、土方様!?」

息を思わず止めてしまった。少なからず想いを寄せている御相手から、
そのようなことを言われてしまい、驚いたから。

土方様は苦笑され、私から離れた。

幸せを感じていた。

こうやって、皆と仲良くしている日が、いつまでも続くのだと思っていた。


楽しかったこの日々…

私達は何処で間違えてしまったのだろうか…。


今でも私はこの答えを知らない。
< 8 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop