恋華(れんげ)
「え…?」

「僕が今まで何度お願いしても、お茶にさえ一度も付き合ってくれないのに、なんでそんなヤツなんかといきなりメシ食いに行ったりするんだよぉ!」

「ハ? 誰、コイツ? キミの知り合い?」

男の人が呆れ顔で言った。

「いや……なんか最近その人に付きまとわれてて……」

「フッ、そうか。ストーカーなら、さっさと俺の前から失せろ。でないとケーサツに突き出すぞ」

「なんだよ、お前! 蓮華さんを助ける“白馬の王子さま”のつもりか!?」

「あいにく俺は“王子さま”なんてガラじゃねぇ。けど俺の歌を聞いてくれた、俺の大事なお客さんにミョ~なことするようなヤツは放っとけねぇな」

「なにが“俺の大事なお客さん”だ! ヘタクソな路上ライブやってるクセにいっぱしのアーティスト気取りか? 歌が終わったんなら、さっさとどっかに消えちまえよ!」

「消えるのはお前だ。ストーカーくん♪」

「言っとくが断じて僕はストーカーなんかじゃない! 僕はただ蓮華さんに自分のキモチを伝えたいだけだ!」


「…!」

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