恋華(れんげ)


今までは相手がどんなオトコだろうとおかまいなしだった。

たとえ秋吉英二みたく“妻子持ち”だろうと、好きになったらそのキモチにブレーキをかけることができないでいた。


だけど今回のあたしは…、

「本気で好きになっちゃいけない!」

…ってココロのどこかで、カレのことを想うキモチにいつもブレーキかけてるんだ。


だから悩んで苦しんで眠れない夜をいくつも数えた。

夜中に一人ベッドから起き上がって、窓を開け、青い下弦の月を見ながら「ふぅ」と紫の煙を吐いて、こんなふうにつぶやいたこともある…、

「好きになっちゃいけないオトコとめぐり逢わせるなんて、ロマンスの神さまも、そーとー性格が悪りィよな。フッ」


だけど……

だけど、いくら頭で考えても、いざ本人を目の前にしてしまうと、カレのことを想う本当のキモチを無理やり押し殺してしまうことがどうしてもできなくなっちゃって……。



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