恋華(れんげ)

「やりぃーっ!このギター、実は前からずっと欲しかったんだ!!」


カレはまるでオモチャを買ってもらった子どもみたいに無邪気な顔をして喜んでくれた。

あたしもカレの喜ぶ顔を見てうれしかった。


でも、そのうれしさは最初だけだった。

カレがいつも四六時中、肌身離さずギターを大事に“だっこ”するようになったからだ。

放っといたらベッドの中に持ち込んで一緒に寝ちゃうんじゃないか、ってくらい大事にしてて、あたしはギターにジェラシーを感じちゃいそうなくらいだった……。


実際、カレのギターの“くびれ”のほうが、あたしの腰のくびれより、ずっとはるかにセクシーなくびれだったし……。


だけど、くびれのことで悩んでたのはあたし一人だけじゃなかった―――――



「ピロピロリ~ン♪」



カレがあたしの部屋にごはんを食べにきたり、お泊まりするようになって一ヶ月が過ぎた頃のある夜のこと、いつものように千恵からのメールが届いた。
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