恋華(れんげ)


『チエだよ~ん。おつかれ~。
ちょっと聞いてほしい話があるんだ~☆
気がついたら電話ちょーだい!うふ♪』


「なにが“うふ♪”だ。どーせまた夫婦ゲンカをグチろうって魂胆だろーが!」

そう思いながらも、あたしはほとんど条件反射的に千恵にリダイヤルしていた。


「もしもし」

「はァ~い。メール届いた?」

「あのねぇ、夫婦ゲンカの相談なら、お昼のテレビ番組に生電話でもしてみたら?」

「だってうちのダンナったら、ひどいんだよ。週刊誌の水着グラビア見ながら“あ~ァ、お前も昔はこのコと同じくらいくびれてたのになァ…”ってぼやくんだから」

「でも、それはホントのことだよね?」

「アンタまで言うな! グラビアアイドルだってあと何年かしたら、あたしと同じ“ポッコリおなか”になるんだから、うちのダンナにも現実ってものをちゃ~あんと認識してもらいたいわよ!」

「じゃあ、ダンナにそう言えばいいじゃん」

「言ったよ! 言ったからケンカがさらにエスカレートしたんじゃない!」

「はいはい。それはご愁傷さま♪」
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