恋華(れんげ)
貴志……。

あたしの腰のくびれより、ギターのくびれのほうに刺激を感じちゃってるワケ?

あたしのカラダを鳴らしたときより、そのギターのほうが“いい声”を出してくれるっていうの……。

ひょっとして今の貴志にとってはギターが恋人だったりするのかな……。


そのギターは、ビンボーな貴志のために、もともとあたしがお金を貸してあげたおかげでゲットすることができたんだよ。

これじゃ、まるであたしがお金払って貴志のために、新しい恋人を買ってあげたみたいじゃん……。



そして……



その日以降も、カレはバイトを頻繁に休むようになり、ほどなくクビになった―――


「ごめん、ちょっとカネ貸してくんね? タバコ買いてぇんだけど、今ちょっと持ち合わせがなくてさ」

「“タバコ代”くらいは貸してあげるけど……。でも、貴志、そろそろ次のバイトを探さなくていいの?」

< 147 / 201 >

この作品をシェア

pagetop