恋華(れんげ)

「えっ、ホント!?」

「うん」

だって貴志はあたしのかわいいペットだから。

ちゃんと最後まで面倒見るって決めたから。

「その代わり、あたしにも一緒に夢を見させてよ。…ってゆーか、あたしが貴志の夢をかなえさせてあげるよ♪」

「え…?」

「貴志ひとりくらい、あたしが食べさせてあげるから、お金のことは大船に乗ったつもりであたしに任せて、貴志は曲づくりのほうをガンバって、ってことだよ♪」

「そっか。蓮華、ありがとな♪」


それまでのあたしはただ自分のためだけに働いて、そして生きていた。

だけど、その日以来、“誰かを幸せにするために働く”っていう生きてくための“目標”っていうか“励み”みたいなものができたような気がする。

そして間違いなく、前より働くのが楽しくなった気がする。


だから少しでも稼ぎをよくするために今までの“ピアノ弾き”の仕事に加えて、より給料の高い“ホステス”のほうの仕事も少しだけやらせてもらうようにした。

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