恋華（れんげ）

「“フーゾク”でもなんでもして、一生懸命働いて貴志を幸せにしてあげます」

「そっか…そーいうことか……。一晩じっくり話し合わなくても、あんたら二人のあいだではもうとっくに“答え”は出てるんだ……」

“飼いイヌに手をかまれる”って、こーいうことなんだ。もっともウチのはネコだけど。


こーいう結末になるかもしれないことは、ココロのどこかで最初から覚悟してた。

だけど……

それでもやっぱり、それが現実の出来事になると、そーとーツライものがある……。


「あたし、疲れたよ…。疲れたから、どっか眠れるとこ探すわ」

吸いかけのタバコを玄関の床に捨てると、憎しみを込めて何度も足で踏みにじった。

「あした、あたしが帰ってくる前に、ちゃんと布団を干して、ベッドの掃除もやっといてよね。じゃ…」

そして、まるでお邪魔虫として追い出されるような気持ちで、自分の部屋をあとにした。


その夜は、朝まであたしのカラダの震えが止まらなかった。

カラダの震えが止まらなかったのは、たぶん、きっと、安ホテルの暖房の効きが悪かったせいだけじゃないと思う―――――