恋華(れんげ)


少しでもラクになるために…、そして自分の中の女の部分を少しでも減らすために、あたしはずうっと伸ばしてきた自慢のロングヘアーを切ることに決めた。

今のあたしにとってロングヘアーなんて洗うのが面倒なだけだし、乾かすのに時間がかかり過ぎるのもイヤ。


小さい頃は母さんに編んでもらったりとか、いろんなヘアースタイルにしてもらうのがすごくうれしかった。

だからオトナになっても、ほとんど切らずにずっと伸ばし続けてきたんだけど……。

今のあたしにはロングヘアーは必要ない!


その日はバイトも休みで、朝イチで美容院に行ったあたしは、午後になってから電車に揺られて地元の町へと帰った―――――



女という生き物は“髪型”や“化粧”や“洋服”を変えるだけで、まったく別の女になることだってできる。

胸のあたりまであった黒髪が、今はもうほっぺたにさえ届かない。

そして色も明るめの栗色になった。


だから久々に会った千恵は変身したあたしを見て…、
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