恋華(れんげ)

「ひえっ!どうしたのぉっ!?」

…って、すっとんきょうな声を上げた。

たしかにここまで髪を短くしたのは生まれてはじめてだし、驚くのも無理ないと思う。

「蓮華、髪の毛、切ったんだ!? 一瞬、誰だか分かんなかったし…」

「フッ。オトナになると、いろいろあるのさ」

「…ってか、あんた、分かりやす過ぎ。“オトコと別れたから髪の毛バッサリ”なんて大昔のドラマの脚本家の発想じゃん」

「勝手に思ってろ」

あたしは強がって言った。

千恵は、あたしにオトコがいたことくらいは知ってる。

だけど、貴志のヤローのことは結局、千恵には言わずじまいだったから、まだあたしが保険会社の秋吉と付き合ってるんだと思ってたに違いない。



「別にあたし、干渉するつもりなんか全然ないよ」



実際、千恵はそーいう女だ。

例えば一緒に歩いていたあたしが派手に転んだとしても…、
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