恋華(れんげ)
「………」
「でも、だからって、また前みたいに誰にも頼んないで一人で行きてく女に逆戻りするワケ? “お一人さま”の老後は淋しいよぉ」
「別に、オトコに頼ってたつもりはないよ。最初から当てになんてしてなかったし」
「じゃ、あたしは?」
「え?」
「あたしのことも当てにしてないワケ?」
「わざわざ東京から、当てになんない人のお店のカフェラテを飲みにくるほど、あたしはヒマじゃないし、いい人でもないよ」
「なら、こんなときくらいは甘えな? 悪いようにはしないから」
「あんた、物好きだね」
「…ってか、あたしとあんたは“腐れ縁”だからね。うふ♪」
「千恵……」
あたしは小さい頃から人見知りが激しくて、オトナになってからも簡単には他人と親しくなれないでいた。
だから、こんなふざけたことを言い合える相手は実際、千恵以外にはいなかった。