恋華(れんげ)

「ムリって?」


「なんかあたし、“恋の仕方”を忘れちゃったみたい。フフフ…」

柴田さんはそう言って淋しそうに笑った。


「なんかね、どうやって男の人を好きになったらいいのか分からないんだよね……」

「………」

「トクベツ意識して相手を好きになろうとするんじゃなくて、気がついたら好きになってたっていうのが、いわゆるフツーの“恋“だと思うんだけど、そーいうの、あたしにはもうムリみたいでさ」

「………」

「あたしは恋ができない女……ってゆーか、恋のできない女は、もう“女として終わってる”のかもしれないけどね」

「柴田さん……」

「最近“おっぱい”いらないって思うし…」

「え…」

たしかにバツイチで毎日、仕事と子育てに追われてるんだとしたら、女でいられる時間なんてないだろうし、おっぱいなんてなんの存在価値もないのかもしれないけど…。

…ってか彼女、中2の頃からおっぱいが大きかったし、逆に、重くて邪魔なのかも……。
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