恋華(れんげ)
きっと誰かが隠したにちがいない。



その後もピアノの椅子に座ろうとすると、ヤケに高い位置にあったり、逆にミョ~に低すぎたり、ときには画びょうが置いてあることもあった。

あと、ピアノを弾こうとすると鍵盤にネバネバした“のり”みたいな液体が塗りつけられていることもあった。


これはもう完全にいじめだ!!



あたしはアイツに頼まれて、アンタらのためにピアノを弾いてやってるんだ。

まったく、やってらんない、ってーの。



あたしはたまりかねてアイツに言った、

「もう合唱部のヘルプなんか辞めたいです」


するとアイツは、

「でも証拠はないし、その、なんてゆーか、立場上、僕は女子部員を疑ってるような発現はできればしたくないんだよ…」

…って言って、あたしを失望させた。


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