恋華(れんげ)
「いえ…。たぶん、きっと遊園地っていうもの自体が、あたし的には“初体験”みたいなものだったから、まだ遊園地の楽しみ方が分からないんだと思います…」


「じゃあ、これから何度も一緒に行こうぜ♪」


「えっ…」

“何度も一緒に行こう”って……


「あたし、今日1日、全然楽しそうな顔とかしてなかったのに、また遊園地に誘ってくれるんですか…!?」


「あぁ♪何度も来てれば、そのうち遊園地が“やみつき”になるさ♪」


「…!」

ひょっとしてコノ人あたしのことが……!!



「あのさ、よかったらケータイの番号とアドレス、教え合いっこしない?」

「あ、はい…」



その日、父親のいないあたしのケータイの電話帳に生まれてはじめて“オトコの番号とアドレス”が登録された。

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