恋華(れんげ)


それから、あっという間にクリスマスが終わり、お正月も終わり、

そして6週間が経った―――――



6週間が経ってアイツの右手の指が完治した今となっては、合唱部におけるあたしの存在意義はなにひとつない。


「このまま合唱部に残る気はない?」

…ってアイツは訊いてくれた。

けど、あたしはこう答えた、

「あたし“歌う”のって苦手なんです……カラオケとかに誘われても絶対行かない主義ですし、だからやめときます……」


もっとも合唱部に残らない理由は他にもあった。

女子部員たちのいじめにうんざりしていたというのがもう一つの理由だ。



「そっか…イヤなら無理強いはしないけど、今度の合唱コンクールは絶対見にきてよ」

「はい…」

…って答えたけど、あたしはコンクールの会場には行かなかった。
< 27 / 201 >

この作品をシェア

pagetop