恋華（れんげ）

「そうですか？」

「だって、あたし、自分が子どもの頃、２２歳ってもっとオトナだと思ってましたから、いざ自分が２２歳になってみると、全然子どものまんまでびっくりしちゃいます」

「私だって、もう４０前のオヤジですけど、精神構造は中学生の頃とほとんど変わってませんよ。“女のコにモテモテになりたい”とか今だに考えてますからね。ハハッ」

「そっか…。じゃあ、たとえ社会的地位があったり、結婚してたり、子どもがいたりしても、世の中のオトナたちはみんな、ホントはオトナになりきれてないんですかね？」

「たぶん、オトナになると社会的な責任なんかを負わされるようになりますから、立場上や表面上、オトナを演じているだけなんだと思いますよ」

「そーいうもんですかね？」

「そういうもんですよ。でも中身は永遠に子ども」

「中身は永遠に子ども…」

「だから人間ってヤツはいくつになっても魅力的な異性に出会うと、まるで青春時代にタイムスリップしたようにときめいて恋をするんだと思いますよ」

「じゃあ、秋吉さんはひょっとして今、あたしに恋しちゃったりなんかしちゃってるんですか？」

「はい。蓮華さんに恋しちゃってます♪」