恋華(れんげ)
「私はね、キミが他のどの社員よりも一生懸命にがんばっていることを知っていたよ」
秋吉は女の髪を触るのが好きみたいだ。
胸のあたりにまであるあたしの黒髪を、クルクルと自分の指に巻きつけたりしてもてあそびながら続けて言った、
「だから今回のことは、私からのささやかなご褒美だと思ってほしいんだ」
「ウソばっかり。他の女の人にも同じことを言ってご褒美をあげてるんでしょ?」
「フッ。まさか」
「知ってるんですよ、あたし」
あたしは秋吉を上目づかいで見た。
「なにをかな?」
「課長は気に入った女の人がいると、その人だけを“えこひいき”して、課長のなじみで絶対に契約してくれることが分かってるお客さんを紹介してあげてるんだ、って……」
「誰だよ?そんなことを言うのは」
「あたしたち外交員のあいだでの、もっぱらの噂ですよ、ウ・ワ・サ♪」
「へぇ、そんな噂が流れてるのか。蓮華くんは私を“女ったらし”と軽蔑するかい?」
「いいえ。モテない男じゃ、営業マンは務まらないと思いますよ」
「だよな♪」
秋吉は女の髪を触るのが好きみたいだ。
胸のあたりにまであるあたしの黒髪を、クルクルと自分の指に巻きつけたりしてもてあそびながら続けて言った、
「だから今回のことは、私からのささやかなご褒美だと思ってほしいんだ」
「ウソばっかり。他の女の人にも同じことを言ってご褒美をあげてるんでしょ?」
「フッ。まさか」
「知ってるんですよ、あたし」
あたしは秋吉を上目づかいで見た。
「なにをかな?」
「課長は気に入った女の人がいると、その人だけを“えこひいき”して、課長のなじみで絶対に契約してくれることが分かってるお客さんを紹介してあげてるんだ、って……」
「誰だよ?そんなことを言うのは」
「あたしたち外交員のあいだでの、もっぱらの噂ですよ、ウ・ワ・サ♪」
「へぇ、そんな噂が流れてるのか。蓮華くんは私を“女ったらし”と軽蔑するかい?」
「いいえ。モテない男じゃ、営業マンは務まらないと思いますよ」
「だよな♪」