恋華(れんげ)
これで逃げられなくなったのは、むしろ秋吉のほうだと思う。
あたしは“一度、誰かに拾われた捨て犬”と同じ。
もし、もう一度捨てようとしても、あたしはあなたをどこまでも追いかけていく…。
たとえ、どんなに迷惑がられようと、この幸せな時間だけは誰にも奪われたくない……。
それ以来、秋吉とは、こーいうカタチで頻繁に一緒の時間を過ごすようになった。
それからというもの、ずっと最下位だったあたしの営業成績は見る間にトップクラスの保険外交員と肩を並べるほどになった。
まさにシンデレラ保険外交員~っ♪♪
ちょうどオセロゲームをやってるときに、相手に負けそうになってほとんど黒だけになっていたのを、まるで“魔法”でも使ったかのような大逆転で、あっという間に白の面へとパタパタとひっくり返していくような、そんな快感をあたしは感じた。
あたしをシンデレラにしてくれる男。
やっぱり秋吉英二は、あたしの魔法使いだ。
あたしは秋吉を離したくないと思った―――