恋華（れんげ）

結局、秋吉は“オトコ”であると同時に“オトナ”であり、そして“お父さん”でもあったっていうことだ。

“お父さん”なら自分の妻や子どもを選ぶのは当然だったし、“オトナ”なら当然の選択だったと思う。



今にして思うと、あたしがアイツと寝たのは“契約”が欲しかったからでもなければ“お金”が欲しかったからでもない。

ましてや“秋吉英二”が欲しかったわけでもない。

あたしが欲しかったのは、たぶんきっと…

“愛”

…だったんじゃないかと思う。
正直、自分でもよく分からないけど……。



奥さんと小学６年生の娘さんのいる男を相手に恋しようとしたところで、こーいう結果になるのは分かってた。

最初っから分かってたんだ。

覚悟ができてるぶん、たとえ秋吉に捨てられるようなことがあったとしても感じるココロの痛みは少ないと思ってた。


だけど秋吉との別れで感じたのは“ココロの傷み”だけじゃなかった。