恋華(れんげ)
中絶手術によって負った“カラダの傷み”
その傷みがあたしを責め苛んだ。
病院で中絶手術をするためには相手の男の同意書が必要ってことだった。
だけど、相手の確認がされないことを知ったあたしは筆跡を変えて自分で同意書に記入をして堕ろした。
それ以来、堕ろされた赤ちゃんがあたしをあの世から呼んでいるのか、あたしの中に自殺衝動が度々わきあがった。
だけど、その度にあたしがこの世から死んでいなくなっちゃうことで、天涯孤独になってしまう母さんのことを考えて、自殺衝動を必死で押し殺してなんとか生き延びた。
それからしばらくして……、
再就職先の面接に向かう途中、とある場所の信号を待っていたときに、あたしは思わず声を上げそうになった。
あたしの目の前を、助手席に松野さんを乗せた秋吉の車が通り過ぎていくのを目撃しちゃったからだ。
アイツ…懲りもしないで、今度は松野さんに魔法をかけたんだ……。
だけどあたしには関係ないことだった―――
その傷みがあたしを責め苛んだ。
病院で中絶手術をするためには相手の男の同意書が必要ってことだった。
だけど、相手の確認がされないことを知ったあたしは筆跡を変えて自分で同意書に記入をして堕ろした。
それ以来、堕ろされた赤ちゃんがあたしをあの世から呼んでいるのか、あたしの中に自殺衝動が度々わきあがった。
だけど、その度にあたしがこの世から死んでいなくなっちゃうことで、天涯孤独になってしまう母さんのことを考えて、自殺衝動を必死で押し殺してなんとか生き延びた。
それからしばらくして……、
再就職先の面接に向かう途中、とある場所の信号を待っていたときに、あたしは思わず声を上げそうになった。
あたしの目の前を、助手席に松野さんを乗せた秋吉の車が通り過ぎていくのを目撃しちゃったからだ。
アイツ…懲りもしないで、今度は松野さんに魔法をかけたんだ……。
だけどあたしには関係ないことだった―――