恋華(れんげ)
「そもそも、自分にできる仕事かどうか事前にリサーチしていれば“無駄な時間”を過ごさずに済んだのではありませんか?」

「…!」


今日はじめて会ったばかりのアンタなんかに、保険外交員として過ごした日々が無駄な時間だったなんて言われる筋合いはないっ!


「“無駄”だったとは思いません。いろんな勉強をすることができましたし」

「そうですか…」



そのあともいろいろと質問されたけど、この会社が“あたしを欲しがっていない”ことは場の空気でもう分かっちゃった…。

だから早く帰りたかった……。


「…では、面接は以上で終わりです」

そう言われたとき、あたしは心底うれしかった♪

「はい。ありがとうございました」

その日、はじめてココロから笑えた気がする。


だけど、そのあと面接官の一人が、あたしの耳を疑うようなことをさらりと言った、


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