恋華(れんげ)
あんなのを美味しいと思う人たちに気がしれないよ……。

「タバコは親に隠れて高校生の頃から吸ってたクセに、お酒はからっきしなんて、あんたも随分とかたよった子だよね♪」

「放っとけ!」

「まぁ、それにしても“ピアノ弾き”とはいっても所詮は水商売さね」

「うん…」

「いろいろイヤな思いをすることもあるだろうけど、一度辞めたあんたをまた雇ってくれたんだ。ま、がんばんな!」

「うん。あと空いてる時間はコンビニのバイトもするようにしてるから、母さんに頼らなくても生活していけると思うよ」

「そうかい」

「うん」

「ごめんね」

「え?」

「母さん、自分が生きていくだけで精一杯なんだよ。あんたに父親がいれば、少しはラクさせてあげられたのかもしれないけど…」

「………」

「でも残念ながらウチには父親なんて、もともといないんだ…。こればっかしはしょうがないわ……」

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