恋華(れんげ)
だから12月のある日の昼休み、千恵から“体育館でバスケをしているアイツを見に行こう”って誘われたときも嫌々ついていった。
「桜庭センパイ、ナイスシュートで~すっ♪」
アイツがシュートを決める度に、ギャラリーの女子たちが「キャー、キャー」言った。
けど、あたしには自分の腕時計のほうが、アイツより何十倍も気になってた。
「ねぇ、千恵。あと5分で昼休み終わっちゃうよ。もう教室に戻ろうよ」
「待って!あと2分、いや1分だけ!」
千恵の目はアイツに釘付けだった。
「じゃあ、千恵だけ残ればいいじゃん。あんなヤツのせいで先生に怒られるなんて、あたし絶対ヤだかんね」
「もう、うるさいなー。だから“あと1分だけ待って”って言ってんじゃん!」
「ハァ…」とあたしはため息をついた。
あんなの、どこがいいんだろ…。
キャー、キャー騒がれてるけど、よく見るとそんなにカッコよくないじゃん。
ハッキリいってあたしは“年上好き”
好きな俳優はジャン=レノだし♪