恋華(れんげ)
「いいって、そんなの。逆にあたしは幸せだったかも」

「え?」

「友達がよく、お父さんの下着とかと一緒に洗濯されるのがイヤだとか、お父さんが先に入ったおフロには入れないとか言ってたから、ウチの場合はそーいう心配しなくてすむワケでしょ?だから♪」

「プッ!」

母さんが吹き出した。

「確かに、そうかもね♪」

「そうそう♪」

「いいかい?蓮華」

「え?」

「女はもう一度、力(りき)むんだよ。女のマタに力(ちから)だよ」

そう言って母さんがあたしのコップにオレンジジュースをお酌した。

「女のマタに力?」

あたし、思わず自分の股間に手をやってた。


「努力の“努(ど)”の字よ」


あたしは空中に指で『女』『又』『力』って書いてみた。

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